Wilsonの中心電極とは?

Wilsonの中心電極(Wilson’s central terminal)

Wilsonの中心電極(Wilson's central terminal)

Wilsonの中心電極は不関電極とも呼ばれ、心電図測定において電位の基準点(ゼロ電位)として使用される仮想的な電極のことです。これは、心電図の単極誘導である胸部誘導(V1~V6誘導)や肢誘導(VR、VL、VF誘導)を記録する際に基準となる電位として用いられます。ちなみに増幅単極肢誘導(aVR、aVL、aVF誘導)ではGoldbergerの中心電極を基準点として使用しています。

Wilsonの中心電極(Wilson's central terminal)

Wilsonの中心電極は、右手(赤)、左手(黄)、左足(緑)の3つの肢電極を電気的に接続し、その平均電位を計算することで形成されます。フランク・ノーマン・ウィルソン(Frank Norman Wilson)によって考案された1)ことに由来します。

具体的には、右手、左手、左足の電極を等しい抵抗(通常は5000~10000オーム)で接続し、その中央点の電位を基準点とします。この点は理論上ではゼロに近い電位を持つとされます。実際には完全にゼロ電位ではなく、心臓の電気的活動の影響をわずかに受けますが2)、臨床的には十分に安定した基準点として機能しています。

参考文献

1)Electrocardiograms that represent the potential variations of a single electrode.” American Heart Journal, 9(4), 447–458.←単極誘導を記録するための基準点としてWCTを提案

2)The zero of potential of the electrical field produced by the heart beat; the problem with reference to the living human subject. Circ Res. 1954 Mar;2(2):104-11.

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