右胸心とは?

右胸心(dextrocardia)

右胸心とは心臓が右側の胸腔に位置し、心臓の心基部-心尖部の軸が右を向いている状態の先天性心奇形です。右胸心は内臓の位置(situs)によって以下の3つに分類されています^1,2)。

心臓が右側に位置しており、それ以外の内臓位置異常を伴わない場合を孤立性右胸心と呼びます。内臓は正常の位置にあるため内臓正位(situs solitus)と呼ばれます。孤立性右胸心は心奇形や肺低形成など、臓器の形成異常を起こしている場合が多いです。

心臓が正常な位置と鏡像関係になっている場合を鏡像型右胸心と呼びます。他の臓器も正常な位置とは左右が反転しており(内臓逆位(situs inversus))、合併症は少ないとされています。

無脾症/多脾症を伴う右胸心は、右胸心の中で最も重篤で無秩序な内臓の不整列障害です。この病態の患者は解剖学的に非常に複雑であり(内臓錯位(situs ambiguus))、多脾を伴う場合は死亡率が非常に高く、重篤な肺高血圧症を含む異常が認められます²⁾。

偏位の仕方によっても以下のように名称がついています³⁾。

鏡像型右胸心は先天性心疾患ですが、右偏心は先天性と後天性の両方が存在します。

右位心は後天的に心臓が右側に偏位したものであり、右胸心には含まれません。右肺切除後などで生じます。

鏡像型右胸心の心電図は、心臓が正常の場合に対して左右対称に入れ替わっている状態であり、以下のような特徴があります。

・Ⅰ誘導ではP波、QRS波、T波の正負が逆

・Ⅱ誘導とⅢ誘導、aVR誘導とaVL誘導、V1誘導とV2誘導が入れ替わった形。

・胸部誘導はV1からV6に向かってQRS波が小さくなる

鏡像型右胸心では電極を左右反対にして鏡像のように配置することで、通常の心電図のようの記録することができます。

右偏心の心電図は以下のような特徴があります。

・Ⅱ誘導とⅢ誘導で深いQ波が見られることがある

・V3からV6誘導にかけて低電位になる

・移行帯はV3からV4の間

・V5、V6誘導はrSパターン

実力心電図　 P98-99

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心電図の読み方パーフェクトマニュアル　P134-135

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