肥大型心筋症とは?

肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy)

肥大型心筋症とは、高血圧や弁膜症などの明らかな負荷要因がないにもかかわらず左心室の心筋が異常に肥厚する心筋疾患です。原因の多くはサルコメア関連遺伝子の変異による遺伝性疾患で常染色体顕性遺伝を示します。心エコーまたは心臓MRIのいずれかで左室壁厚が15mm以上、家族歴や遺伝子変異が明らかな場合は13〜14mmでも診断可能です。心筋の肥厚パターンが多様であり、非対称性中隔肥大、心尖部肥大、びまん性肥大などがあります1)

肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy)
肥大型心筋症とは、高血圧や弁膜症などの明らかな負荷要因がないにもかかわらず左心室の心筋が異常に肥厚する心筋疾患です。原因の多くはサルコメア関連遺伝子の変異による遺伝性疾患で常染色体顕性遺伝を示します。心エコーまたは心臓MRIのいずれかで左室壁厚が15mm以上、家族歴や遺伝子変異が明らかな場合は13〜14mmでも診断可能です。心筋の肥厚パターンが多様であり、非対称性中隔肥大、心尖部肥大、びまん性肥大などがあります

心電図所見

肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy)
文献2より 肥大型心筋症の心電図

左室高電位

肥大型心筋症では左室心筋の肥大により、心電図上で左室高電位が高頻度に認められます。高電位基準を満たすものは約40〜70%程度と報告されていますが、これらの基準を満たしても実際の壁厚との相関は弱いことが知られています。そのため壁厚が30mmを超えるような高度肥大でも高電位基準を満たさない場合がありますし、逆に比較的軽度の肥大でも高電位を示す場合があります。高電位単独では診断確定にはならないため必ず心エコーやMRIで壁厚を評価する必要があります。

肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy)
肥大型心筋症では左室心筋の肥大により、心電図上で左室高電位が高頻度に認められます。高電位基準を満たすものは約40〜70%程度と報告されていますが、これらの基準を満たしても実際の壁厚との相関は弱いことが知られています。そのため壁厚が30mmを超えるような高度肥大でも高電位基準を満たさない場合がありますし、逆に比較的軽度の肥大でも高電位を示す場合があります。高電位単独では診断確定にはならないため必ず心エコーやMRIで壁厚を評価する必要があります。

ストレインT波

ストレインT波は左室肥大に伴う二次性の再分極異常を表しています。正常では心外膜側から心内膜側へ向かって再分極が進みますが、肥大した心筋では興奮伝播が遅れるので再分極の順序が逆転し、心内膜側が先に再分極して心外膜側の再分極が遅れることで再分極ベクトルが逆転しST低下と陰性T波が生じます。T波は非対称性で緩徐な上に凸の下降部分と急峻な上行部分が存在します。

ストレインT波

ストレインT波は左室肥大に伴う二次性の再分極異常を表しています。正常では心外膜側から心内膜側へ向かって再分極が進みますが、肥大した心筋では興奮伝播が遅れるので再分極の順序が逆転し、心内膜側が先に再分極して心外膜側の再分極が遅れることで再分極ベクトルが逆転しST低下と陰性T波が生じます。T波は非対称性で緩徐な上に凸の下降部分と急峻な上行部分が存在します。

dagger-like Q waves

肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy)
文献3より 肥大型心筋症のdagger-like Q waves

dagger-like Q wavesとは、肥大型心筋症の中隔肥大で中隔の脱分極ベクトルが異常に増強された結果生じる、幅が狭くて振幅が深いQ波です。daggerは短剣を意味しており、短剣のような鋭い形状のQ波を表しています。側壁誘導からみると中隔の興奮は遠ざかる方向になるため、側壁誘導を中心に下壁誘導にもQ波が出現することがあります。

肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy)
dagger-like Q wavesとは、肥大型心筋症の中隔肥大で中隔の脱分極ベクトルが異常に増強された結果生じる、幅が狭くて振幅が深いQ波です。daggerは短剣を意味しており、短剣のような鋭い形状のQ波を表しています。側壁誘導からみると中隔の興奮は遠ざかる方向になるため、側壁誘導を中心に下壁誘導にもQ波が出現することがあります。

巨大陰性T波

肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy)
文献2より 心尖部肥大型心筋症の巨大陰性T波

巨大陰性T波が最も特徴的にみられるのは心尖部肥大型心筋症ですが、純粋な心尖部肥大だけでなく心尖部優位の肥大を伴う混合型でも出現します。心尖部の著明な肥大によって心尖部心筋の再分極が著しく遅延するので再分極ベクトルが心尖部から心基部方向に向いて左前胸部誘導で深い陰性T波として記録されます。心尖部に肥大が限局しているため、他の部位からのベクトルによる相殺(cancellation)が少なく大きなT波が形成されやすいです。

肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy)
巨大陰性T波が最も特徴的にみられるのは心尖部肥大型心筋症ですが、純粋な心尖部肥大だけでなく心尖部優位の肥大を伴う混合型でも出現します。心尖部の著明な肥大によって心尖部心筋の再分極が著しく遅延するので再分極ベクトルが心尖部から心基部方向に向いて左前胸部誘導で深い陰性T波として記録されます。心尖部に肥大が限局しているため、他の部位からのベクトルによる相殺(cancellation)が少なく大きなT波が形成されやすいです。

参考文献

1)心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版)

2)Diagnostic and prognostic electrocardiographic features in patients with hypertrophic cardiomyopathy. Eur Heart J Suppl. 2023 Apr 26;25(Suppl C):C173-C178.

3)Hypertrophic cardiomyopathy: electrocardiographic manifestations and other important considerations for the emergency physician. Am J Emerg Med. 2007 Jan;25(1):72-9. 

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