gap現象(gap phenomenon)
gap現象とは、主に刺激伝導系において伝導性が悪くなるはずの早い刺激がむしろ伝導し、少し遅い刺激が伝導しないという現象です。一定の基本調律において心房期外収縮が発生した場合、連結期が短縮すれば心房の興奮は心室へは伝導されず非伝導性心房期外収縮となります。ここで、さらに連結期が短縮した場合に房室伝導が回復し心房興奮は再び心室へ伝導されることがあります。このように房室伝導が途絶する一定期間を房室伝導における「gap」と呼んでいます1)。

gap現象は主に電気生理学的検査(EPS)で、早期刺激法と心内心電図を用いて観察・診断される現象であり、12誘導心電図では間接的な所見しか得られません。
メカニズム
gap現象が成立する条件は次の2つです。
- 遠位組織の不応期が近位組織の不応期より長い
- 短い連結期で近位組織に十分な伝導遅延が生じる

心房期外収縮の連結期の違いによる興奮の伝導は以下のようになります。
- 長い連結期:興奮は正常に伝導する
- 中間の連結期:近位は通過するが、遠位組織に到達した時点でまだ遠位が不応期でありブロック(initial block)される
- 短い連結期:近位が相対不応期で伝導遅延が生じ(proximal delay)、その間に遠位組織が回復(distal recovery)して伝導再開する

gap現象は伝導遅延する近位の部位とブロックされる遠位の部位で分類されており、Damatoらの分類がよく使われます2)。

心電図所見

連結期が長い心房期外収縮は心室へ伝導してQRS波が出現します。中間の連結期の心房期外収縮は伝導がブロックされるのでQRSが脱落します(非伝導性心房期外収縮)。さらに短い連結期の心房期外収縮は再び心室へ伝導してQRS波が出現しますが多くはPR延長を伴います。QRS波の幅は狭い場合や変行伝導による脚ブロックパターンの場合もあります。
参考文献
1)Nature of the gap phenomenon in man. Circ Res. 1974 May;34(5):682-92.
2)The Conduction System of the Heart. Philadelphia: Lea & Febiger, 1976: 504–528.

