Wellens症候群(Wellens syndrome)
不安定狭心症の中で、胸痛が消えた後に前胸部誘導でT波に心電図変化を示す症候群です1,2)。1982年にWellensらによって報告され、左冠動脈前下行枝が障害されるために広範な前壁心筋梗塞を発症する危険性が高いとされています。
診断基準
Wellens症候群の診断基準は以下のとおりです3)。
① V2−3誘導(時にV1−6誘導まで及ぶ)に深い陰性T波か2相性T波が存在すること
② ST上昇はしていないか最小限にとどまること(1mm以下)
③ 前胸部誘導にQ波がないこと
④ 前胸部誘導でR波が維持されていること
⑤ 最近の胸痛が存在すること
⑥ 胸痛を一度自覚した後の症状が消失した時間帯に心電図変化があること
⑦ 心筋逸脱酵素は正常かわずかな上昇であること
② ST上昇はしていないか最小限にとどまること(1mm以下)
③ 前胸部誘導にQ波がないこと
④ 前胸部誘導でR波が維持されていること
⑤ 最近の胸痛が存在すること
⑥ 胸痛を一度自覚した後の症状が消失した時間帯に心電図変化があること
⑦ 心筋逸脱酵素は正常かわずかな上昇であること
2パターンのT波の変化
Wellens症候群は2つのパターンが報告されています4)。
・2相性T波を呈するタイプ:Type A (Type2)→ 24%
・深いT波変化をきたすタイプ:Type B (Type1)→ 76%
・深いT波変化をきたすタイプ:Type B (Type1)→ 76%
Wellens症候群では心電図がTypeAからTypeBに進行することがあり、これは虚血の進展を示している可能性が示唆されています5)。
心電図まとめ
参考文献
3)Electrocardiographic manifestations of Wellensʼ syndrome. Am J Emerg Med 2002;20:638-643
5)Progression From Patterns A to B in Wellens Syndrome: Electrocardiographic Progression in Wellens Syndrome. JACC Case Rep. 2023 Oct 30;28:102094.←心電図がTypeAからTypeBに進行した3症例を報告。
6)Wellen’s Syndrome: The Life-Threatening Diagnosis. Circulation. 2019 Nov 26;140(22):1851-1852.