Einthovenの三角形とは?

Einthovenの三角形(Einthoven’s Triangle)

Einthovenの三角形は、標準肢誘導 I・II・III の関係を理解するための理想化されたモデルです1)。右手・左手・左足を3つの頂点とする正三角形を想定し、その中央に心臓があると仮定します。3つの誘導をこの三角形の各辺に沿った前額面上のベクトル(誘導軸)として考えることで、心臓の電気活動の方向、すなわち電気軸をベクトル的に扱いやすくすることができます。

Einthovenの三角形(Einthoven’s Triangle)

ただし、これはあくまで計算や理解のための理想モデルです。実際の人体では、右手・左手・左足は正三角形を形成しておらず、心臓もその三角形の中央に位置しているわけではありません。そのため、実際の心電図で得られる誘導軸は、理想的なEinthovenの三角形とは多少異なります。

Einthovenの三角形(Einthoven’s Triangle)

つまり、「人体が正三角形だからEinthovenの三角形になる」のではなく、「3つの標準肢誘導の関係をわかりやすく扱うために、正三角形として理想化したモデル」と考えるとわかりやすいです。

正三角形を想定することによって、標準肢誘導は前額面上で、Ⅰ誘導:0°、Ⅱ誘導:+60°、Ⅲ誘導:+120°という、60°間隔の3方向として扱いやすくなります。3つの誘導軸が等間隔に配置されているため、心臓の電気ベクトルをそれぞれの誘導方向に投影して、前額面上の電気軸をバランスよく評価することができます。また、心臓を正三角形の中心に置くことで、3電極から心臓までの距離を等しいとする理想的な対称モデルを作ることができ、3方向の誘導を対称的に扱いやすくなります。そのため、ベクトル解析や図示が非常に簡単になります。

Einthovenの三角形(Einthoven’s Triangle)

もちろん、正三角形でなくても、異なる3方向の誘導があれば、原理的には心臓の電気ベクトルを求めることができます。ただし、誘導軸が不規則な角度になり、心臓と電極までの距離も異なるため、それぞれの方向や距離を個別に考える必要があり、計算や図示が複雑になります。一方、正三角形のモデルでは、3つの誘導軸が60°間隔で規則的に配置されるため、ベクトル解析を簡単に行うことができます。

Einthovenの三角形(Einthoven’s Triangle)

参考文献

1)The different forms of the human electrocardiogram and their signification. Lancet. 1912;179(4622):853-861.

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