Einthovenの法則(Einthoven’s law)
Einthovenの法則とは、標準肢誘導の3つの誘導の間に成り立つ関係です1)。

標準肢誘導に使用する3つの電極を「右手」、「左手」、「左足」とすると、それぞれの誘導は2つの電極の電位(V)の差になるので標準肢誘導は以下のように表されます。


また、厳密には任意の同一時点 t について式が成立します。

つまり、P波・QRS波・ST部分・T波のどこであっても、同じ時相の瞬時電位をそろえてI誘導とIII誘導を足せば、理論上はII誘導のその時点の電位になります。たとえば、QRS波のある瞬間で「I = +0.5mV、III = +0.3mV」なら、「II = +0.8mV」となります。重要なのは「各誘導のR波の高さを足す」といった波形の最大振幅同士の計算ではないことです。R波含め各波形のピークの時刻は誘導によって異なる可能性があるため、あくまで時間軸をそろえた同一の時相の電位を足し合わせる必要があります。

Einthovenの法則そのものは、正三角形への近似(Einthovenの三角形)がなくても3点間の電位差について数学的に成立します。例えば、3つの電極を「赤」、「黄」、「緑」とすると三角形がいびつな形でも、「(V黄−V赤)+(V緑−V黄)=V緑−V赤」が成立します。

正三角形は電気軸をベクトルで扱いやすくするための理想モデルであり、アイントーベンの法則は3つの電極間の電位差の数学的関係です。つまり、Einthovenの法則は「正三角形の形」の時に成り立つ法則ではなく、「3点の電位差」に関する法則であり、電極が3点あれば場所に関係なく常に成り立ちます。

参考文献
1)The Telecardiogram. Am Heart J. 1957;53(4):602-615.

