左室高電位(left ventricular high voltage)

左室高電位は左室側の誘導であるⅠ誘導、aVL誘導、V5誘導、V6誘導を中心としたR波の増高が見られます。

ミネソタコードの左室高電位の基準はSV1+RV5>35mm、RV5>26mm、RV6>24mm、RaVL>12mmなどがあります。
原因
左室高電位の原因としては左室肥大が有名ですが、左室高電位=左室肥大ではありません1)。R波の波高は心臓の起電力の大きさ、心臓周囲組織の伝導性、体格、年齢、性別、人種などに影響を受けます。
年齢
QRS波の電位は年齢が上がるにつれて低下する傾向があります。
性別
成人女性は成人男性よりもQRS波の電位の上限がわずかに低いです。いくつかの基準は性別を調整することで性能が向上することが示されていますが、その調整はすべての基準で同じではありません2)。
人種
QRS波の電位の正常値は人種によって異なります。例えば、アフリカ系アメリカ人はヨーロッパ系アメリカ人よりもQRS波の電位の正常上限が高く、ヒスパニック系アメリカ人は低いとされています。
肥満
肥満は左室質量の増加と関連しますが、QRS波の電位の増加とは相関しないと報告されています。これは、脂肪組織による絶縁効果と、心臓から胸壁電極までの距離が遠くなることにより電位の上昇を相殺しているためと考えられています。
胸壁
日本人は欧米人と比較してR波が高い傾向がありますが、これは胸壁が薄いためと考えられています。
参考文献
書籍
心電図の読み方パーフェクトマニュアル P112-113
心電図マイスターによる3→1級を目指す鑑別力grade up演習 P28-29