洞性不整脈(sinus arrhythmia)
洞性不整脈では洞結節から発生した興奮は心房から心室へと正常に伝導していますが、P-P間隔(R-R間隔)が明らかに不規則になっている状態です。一般的には呼吸性洞性不整脈(Respiratory Sinus Arrhythmia)のことを指します。健常な若い人に多く、副交感神(迷走神経)が正常に機能している証拠であり、ほとんどが生理的な変動なので治療は不要です。若年者の固有心拍数は安静時心拍数よりも多く、迷走神経によって抑制されている影響が大きいので洞性不整脈の変動もより大きくなります。

吸気時には肺が膨張して肺伸展受容器が刺激されることで迷走神経が一時的に抑制されるので、洞結節抑制が弱まり心拍数増加します(頻脈相)。呼気時には肺が縮小して迷走神経が回復・亢進するので洞結節が強く抑制され心拍数減少します(徐脈相)。

吸気時に心拍数が増加することで肺血流が多くなり、肺胞への酸素流入が最大になるタイミングで血流を多く送り込むことができます。呼気時に心拍数が減少することで肺血流が少なくなり、肺胞内の酸素が一時的に少なくなるタイミングで血流を抑えることができます。この同期により、各呼吸サイクル内で換気と血流のタイミングがマッチすることで酸素取り込みと二酸化炭素排出の効率が良くなり、肺のガス交換効率が上昇します1)。
心電図所見

心電図の診断基準として明確なものはありませんがP-P間隔(R-R間隔)の変動が≧120msec(0.12秒)または≧160msec(0.16秒)がよく使用されています。記録用紙の小さいマスでいうと3マスまたは4マス以上の変動が見られます。P-P間隔(R-R間隔)の変動は最大のP-P間隔と最小のP-P間隔の差で求めます。

深呼吸すると変動が極端に大きくなり、息を止めると変動が小さくなりほぼ規則正しくなります。呼吸周期に一致してP-P間隔(R-R間隔)の変動が見られれば呼吸性洞性不整脈を考えます。P波、QRS波の波形、PQ間隔は変化しません。

参考文献
深掘りしたい方へ
心電図トレーニング100 P23-25
この本は問題集ですが洞性不整脈の病態を非常に詳しく解説しており、「心拍変動」や「高周波成分」に関しても言及されています。

