心室期外収縮(Premature Venticular Contraction：PVC)
期外収縮は、洞結節以外の場所から異所性の興奮が発生し、本来の収縮のタイミングに先立って心筋を興奮させることで発生します。心室で興奮が発生した場合を心室期外収縮と呼びます。
心室期外収縮は固有心筋を伝導して心室を興奮させるため、刺激伝導系を伝わる正常の興奮と比較して伝導に時間がかかります。そのためQRSの立ち上がりは緩徐で、QRS幅が広くなります。また、洞結節の興奮とは繋がっていないため先行するP波はなく、刺激伝導系を介した通常の興奮とは違うのでT波はQRSと逆向き(二次性ST変化)になります。
伝導様式の違い
間入性心室期外収縮
間入性心室期外収縮は「間入性」という文字が表すように、洞調律の基本周期の間に心室期外収縮が入り込んだものを指します。
間入性心室期外収縮の後の洞結節からの興奮が房室結節の相対不応期の間に伝わると伝導遅延が生じることでPR間隔延長をきたすことがあります。
完全代償性休止期を伴う心室期外収縮
心室期外収縮による興奮で房室結節が不応期になり、次の洞結節からの興奮が房室結節でブロックされる場合を完全代償性休止期を伴う心室期外収縮と呼びます。
不完全代償性休止期を伴う心室期外収縮
心室期外収縮による興奮が逆行性に伝導(室房伝導)して洞結節をリセットした場合を不完全代償性休止期を伴う心室期外収縮と呼びます。
参考文献
書籍
心電図の読み方パーフェクトマニュアル P240-247
ほぼ初めての心電図 P160-176
あなたが心電図を読めない本当の理由 P35-42
心電図マイスターによる3→1級を目指す鑑別力grade up演習 P60-61
