不応期(refractory period)
心筋の活動電位が発生した後に、刺激への反応が低下して刺激を与えても活動電位が発生しない時期があり、この時期を不応期と呼びます。そのため、不応期に興奮が伝導してきてもブロックされてしまいます。

不応期には、絶対不応期(absolute refractory period)と相対不応期(relative refractory period)の2つが存在します。どんなに強い刺激にも反応しない時期を絶対不応期と呼び、再分極の進行中に強い刺激を加えると活動電位を発生する時期を相対不応期と呼びます。
・相対不応期:強い刺激に反応する
活動電位は0相から4相までの5つの段階に分けられますが、3相が再分極のタイミングであり、およそ3相の前半までが絶対不応期、後半からが相対不応期になります。

心電図で言うと、T波が再分極を反映しており、T波の頂点付近までが絶対不応期、T波の要点付近からT波の終末までが相対不応期になります。

T波頂点付近で絶対不応期から相対不応期に変化しますが、T波頂点付近からT波下降脚前半にかけてのタイミングは受攻期と呼ばれ電気的に不安定であり、心室において心室期外収縮などの興奮が発生(R on T)すると心室細動などの危険な不整脈が発生する可能性があります。

不応期の長さ
心筋組織によって不応期の長さは異なっています。不応期の長さは房室結節が一番長く、房室結節→右脚→左脚→心室筋→心房筋の順番に短くなっていき、特殊心筋(刺激伝導系)の方が固有心筋(作業心筋)より不応期が長いです。

不応期の長さは先行するRR間隔の長さ(心拍数)に依存することが知られており、一般的には先行するRR間隔が短ければ不応期は短くなり、RR間隔が長ければ不応期は長くなります。
房室結節
心筋組織において房室結節の不応期が最も長く、これにより心房細動などの高頻度の興奮が心室に過剰伝導するのを防ぐ防御機能を果たしています。

また、不応期の長さは先行するRR間隔の長さに依存し、RR間隔が短い(頻拍)場合では通常は短縮しますが、房室結節では不応期が短縮しにくいのが特徴です。
脚
脚の伝導速度は速いですが、不応期は心室筋よりやや長めです。一般的には右脚の方が左脚よりも不応期が長いです。

順行性の伝導に関して、右脚が不応期かつ左脚が不応期から回復しているタイミングで心房期外収縮など上室性の興奮伝導があると機能的右脚ブロックが生じる変行伝導が発生します。

また、先行するRR間隔の変化に対して不応期の長さが一番変化しやすいのが脚になります。そのため長いRR間隔の後に急に短いRR間隔になると先行する長いRR間隔の影響で脚の不応期が延長しているため変行伝導が生じやすく、これをAshman現象と呼び、心房細動などで見られます。

固有心筋
固有心筋のうち心室筋の不応期は心房筋より長く、心筋の持続収縮を起こさないようになっています。これにより心室筋の拡張期が確保されるので心臓のポンプ機能が保たれます。心房筋は不応期が短く、心房細動などの高頻度の興奮にも反応できてしまいます。

参考文献
書籍
植え込み型心臓デバイス認定士公式テキスト P104-105

