左室容量負荷(left ventricular volume overload)
左室肥大は心室の内圧が上昇することによる圧負荷(pressure overload)に伴う肥大と心室の容量が増加することによる容量負荷(volume overload)に伴う肥大に分けられます。圧負荷では心臓の内側に向かって心筋が肥大するので求心性肥大と呼ばれ、容量負荷では心臓の外側に向かって肥大するので遠心性肥大と呼ばれます。
原因
左室容量負荷の原因となるのは、左室内に流入する血液の量が増えるような疾患であり、大動脈弁逆流症、僧帽弁逆流症、心室中隔欠損症などがあります。
心電図変化(左室容量負荷)
高電位
左室容量負荷では左室内腔が拡大すると共に心筋が肥大しており、起電力の増加と心筋が胸壁に近づくことで高電位になります。
また、左室の壁厚増加がなくても左室の血液量が増加するとR波が増加するというBrody効果が提唱されていますが、相関関係はないとする報告もあります。
q波増大
容量負荷ではV5、V6のq波が増大します。V5、V6のq波はseptal q波とも呼ばれており、中隔基部の肥大を反映しているとする報告もあります。
ST-T変化
容量負荷ではST部分が上昇し、V5、V6誘導で左右対称なT波の増高が見られます。
参考文献
書籍
心電図判読ドリル P7-8
心電図の読み方パーフェクトマニュアル P114-117
実力心電図 P114-115
心電図マイスターによる3→1級を目指す鑑別力grade up演習 P102-103