融合収縮(fusion beat)
融合収縮では興奮同士がぶつかることでそれぞれの心電図波形が融合した波形を呈します。
融合収縮は興奮の起源と融合の場所により4種類に分類されます1)。
異なる起源
心房融合収縮
洞結節からの興奮が洞房結節や心室からの逆行性伝導による興奮と融合することによって生じます。
心室からの興奮の場合は、心室期外収縮や心室補充収縮によって引き起こされます。
洞結節からの興奮と心房期外収縮や2つの心房期外収縮の融合収縮は極めてまれになります。
心室融合収縮
上室性の興奮と心室期外収縮や心室補充収縮の興奮が心室で融合することで生じます。上室性の興奮は、洞結節、心房、房室結節のいずれかに由来します。
心室に異なる起源を有する場合もあり、心室期外収縮が2ヶ所から発生する場合や完全房室ブロック時に心室の2つのペースメーカが補充収縮を出す場合に見られます。
心室頻拍時に見られた場合は上室性頻拍との鑑別に有用です。
同一の起源
同一起源の場合は、房室ブロックを伴うリエントリーや二重伝導路を有する場合に融合収縮が見られます。
心房融合収縮
2:1房室ブロックを伴う洞調律で、洞結節からの興奮がリエントリーで逆行性伝導し、次の洞結節からの興奮と融合する融合収縮が報告されています。
心室融合収縮
心室由来の場合は心室の興奮がリエントリーし、次の心室興奮と融合することで生じます。
心房由来ではWPW症候群が代表的です。WPW症候群では洞結節の興奮が房室結節を通るものと副伝導路を通るものに分かれ、心室で興奮が融合することで生じます2)。
参考文献
1)Different mechanisms of fusion beats. Am Heart J. 1948 Mar;35(3):448-57.