Danon病
Danon病は、LAMP2遺伝子の異常によって生じる、まれなX連鎖性遺伝性疾患です。主に心筋・骨格筋・中枢神経系が障害され、特に心病変が予後を大きく左右します。男性では若年から重症化しやすく、典型的には肥大型心筋症、骨格筋ミオパチー、知的発達の遅れの3徴を呈します。一方、女性では発症が遅く、心筋症が主体となることが多く、肥大型だけでなく拡張型心筋症を呈することもあります。

病理学的にはLAMP2欠損によってオートファジー・リソソーム機能が障害され、心筋細胞内に自己貪食空胞が蓄積します。診断には心エコー・心臓MRIに加え、LAMP2遺伝子解析が重要です。進行例では通常の心不全治療だけでは不十分なことがあり、植込み型除細動器や心臓移植が検討されます。若年者で説明困難な著明な心肥大とWPW様心電図を認めた場合、鑑別すべき重要な疾患です。
心電図所見

心電図異常は非常に高頻度で、Danon病を疑う重要な手掛かりです。特に特徴的なのが著明な高電位とPR短縮を伴う心室早期興奮(WPW様)で、異常Q波、ST-T変化なども認めます。ただし、WPW様所見のすべてが通常の副伝導路によるとは限らず、房室結節・His-Purkinje系を含む特殊な伝導異常が関与する症例も報告されています。また、心房細動、心室頻拍などの不整脈や房室ブロックを合併し、突然死の原因となります。

高電位

Danon病では、心筋細胞内に自己貪食空胞などが蓄積し、特に男性では若年から高度な左室肥大を呈します。この心筋量の増大を反映して、胸部誘導を中心に非常に大きなR波・S波が出現し、一般的な左室肥大の電位基準を大幅に超えることがあります。ただし、Danon病の高電位は心筋肥大だけでは説明できない場合があります。
PR短縮

Danon病では、PR間隔の短縮とデルタ波を伴うWPW様の心室早期興奮が特徴的な心電図所見として知られています。一般的なWPW症候群では、副伝導路(Kent束)を介して心室が早期に興奮するため、PR短縮、デルタ波、QRS幅延長が生じます。Danon病でも実際に房室副伝導路が証明された症例がありますが、Danon病のWPW様心電図のすべてが通常のKent束によるとは限りません。電気生理学的検査から、房室結節やHis-Purkinje系に関連した異常な伝導経路・促進された房室伝導が心室早期興奮に関与すると考えられる症例も報告されています。
