EASY-WPW
EASY-WPWとは2023年に発表された12誘導心電図から副伝導路の位置を予測するアルゴリズムのことです1)。
副伝導路の位置を予測するアルゴリズムとして他にも有名なものとしてアルーダアルゴリズムがあります。
領域の分類
この報告では副伝導路の存在部位を7つに区別しています。これらは以下のように定義されます。
アルゴリズム
EASY-WPWアルゴリズムは、デルタ波の極性およびQRS波の移行帯と、最も陽性のデルタ波、またはデルタ波がうまく区別できない場合は最も陽性のQRS波を有する誘導に基づいています。デルタ波は、最も早いQRS波の最初の20~40msと定義されます。
アルゴリズムには、左側副伝導路(僧帽弁:MV)の2段階アプローチと、右側副伝導路(三尖弁:TV)の3段階アプローチがそれぞれ含まれています。
右側副伝導路(三尖弁:TV)
ステップ1
ステップ1ではV1誘導を確認し、デルタ波が陰性または等電位である場合は右側副伝導路(三尖弁)を示します。
ステップ2
ステップ2ではV3誘導の極性を確認します。前胸部誘導におけるQRS移行帯が(≤V3または>V3)ステップ3での手順を決定します。
ステップ3
ステップ3ではII、III、aVR、aVL誘導のうちで最陽性デルタ波を有する誘導が正確な副伝導路の局在を決定します。
QRS移行帯≦V3:II誘導またはIII誘導の最陽性デルタ波は前中隔を示し、aVR誘導またはaVL誘導の最陽性デルタ波は後中隔の副伝導路局在を示します。
QRS移行帯>V3:aVL誘導の最陽性デルタ波は後外側、II誘導は前外側、III誘導は前中隔、aVR誘導は後中隔の副伝導路局在を示します。
具体例
三尖弁後中隔(TVPS)の副伝導路の局在推定の具体例です。
三尖弁前外側(TVAL)の副伝導路の局在推定の具体例です。
左側副伝導路(僧帽弁:MV)
ステップ1
ステップ1ではV1誘導の極性を確認し、陽性の場合は左側副伝導路(僧帽弁)と判断してステップ2に進みます。
ステップ2
ステップ2では最も陽性のデルタ波を確認します。 II、III、aVR、aVL誘導の中で最も陽性のデルタ波が正確な誘導が副伝導路の局在を決定します。
詳細には、最陽性デルタ波がaVL誘導の場合は後中隔、aVR誘導では後外側、III誘導では前外側の副伝導路局在を示します。
具体例
僧帽弁後外側(TVPL)の副伝導路の局在推定の具体例です。
参考文献
1)EASY-WPW: a novel ECG-algorithm for easy and reliable localization of manifest accessory pathways in children and adults. Europace. 2023 Feb 16;25(2):600-609.←EASY-WPWの元論文。副伝導路局在の予測は感度92%、特異度99%と報告されている