右心耳とは?

右心耳(right atrial appendage)

右心耳とは、右心房の前方から前上方へ突出する袋状の構造です。「心耳」という名前は外観が耳のように見えることに由来します。

右心耳(right atrial appendage)
右心耳とは、右心房の前方から前上方へ突出する袋状の構造です。「心耳」という名前は外観が耳のように見えることに由来します。

右心耳は上行大動脈の右前方に張り出すように存在し、大動脈基部〜上行大動脈の右側面・前面を部分的に覆うような位置関係です。一方、左心耳は肺動脈幹の左側に位置するので、左右の心耳は大血管である大動脈・肺動脈幹を挟みこむような配置になります。

右心耳(right atrial appendage)
右心耳は上行大動脈の右前方に張り出すように存在し、大動脈基部〜上行大動脈の右側面・前面を部分的に覆うような位置関係です。一方、左心耳は肺動脈幹の左側に位置するので、左右の心耳は大血管(大動脈・肺動脈幹)を挟むような配置になります。

右心耳は右心房の本体と連続していますが、内部には櫛状筋(pectinate muscles)と呼ばれる筋肉の隆起が発達しているのが特徴です。右心房内では分界稜(crista terminalis)が、後方の平滑な静脈洞部と、前方の櫛状筋を有する領域との境界となっています1)。

右心耳(right atrial appendage)
右心房の本体と連続していますが、内部には櫛状筋(pectinate muscles)と呼ばれる筋肉の隆起が発達しているのが特徴です。右心房内では分界稜(crista terminalis)が、後方の平滑な静脈洞部と、前方の櫛状筋を有する領域との境界となっています。

右心耳では櫛状筋そのものは厚い筋束ですが、その筋束と筋束の間にある壁は非常に薄くなります。そのため肉眼標本では場所によって光が透けるほど薄く見えることがあります。右心耳はその薄さゆえに穿孔・損傷しやすい部位であり、臨床的にはカテーテルやリード挿入時に注意が必要になります2)。

右心耳(right atrial appendage)
右心耳では櫛状筋そのものは厚い筋束ですが、その筋束と筋束の間にある壁は非常に薄くなります。そのため肉眼標本では場所によって光が透けるほど薄く見えることがあります。右心耳はその薄さゆえに穿孔・損傷しやすい部位であり、臨床的にはカテーテルやリード挿入時に注意が必要になります。

文献2より A:右心耳に光を当てた時の透過光、B:右心耳の組織切片

右冠動脈は大動脈基部と右心耳の間から右房室間溝へ向かいますが、洞結節枝が右冠動脈近位部から分岐した場合、右心耳の内側を上行し、右心耳と上行大動脈の間を走行して上大静脈‐右房接合部の洞結節へ向かいます。洞結節枝は冠動脈の中でもかなりバリエーションが多い血管であり、約70%が右冠動脈から分岐しています3)。

右心耳(right atrial appendage)
右冠動脈は大動脈基部と右心耳の間から右房室溝へ向かいますが、洞結節枝が右冠動脈近位部から分岐した場合(70%程度)、右心耳の内側を上行し、右心耳と上行大動脈の間を走行して上大静脈‐右房接合部の洞結節へ向かいます。洞結節枝は冠動脈の中でもかなりバリエーションが多い血管であり、約70%が右冠動脈から分岐しています。

機能

右心耳は単なる付属構造ではなく、静脈還流などによって右心房へ流入する血液量が増加した際に拡張し、右心房の容量を調節するリザーバーとして働きます。また、心房筋、特に右心耳には心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)を含む分泌顆粒が豊富に存在します。心房が伸展するとANPが分泌され、ナトリウム排泄や利尿、血管拡張などを介して循環血液量や血圧の調節に関与します。

心電図所見

胸部誘導において右心耳はV1誘導のすぐ下に位置します。右心耳は洞結節より前方に位置するため、右心耳から異所性興奮が発生すると、興奮は前方から後方へ向かう成分を持ちます。このため右心耳起源の心房期外収縮や心房頻拍では、V1~V2誘導で陰性P波を呈し、その後の胸部誘導で徐々に陽性へ移行する特徴的なP波形態がみられることがあります。

右心耳(right atrial appendage)
右心耳は洞結節より前方に位置するため、右心耳から異所性興奮が発生すると、興奮は前方から後方へ向かう成分を持ちます。このため右心耳起源の心房期外収縮や心房頻拍では、V1~V2誘導で陰性P波を呈し、その後の胸部誘導で徐々に陽性へ移行する特徴的なP波形態がみられることがあります。

参考文献

1)Regionalization of the atria for 3D electroanatomical mapping, cardiac imaging, and computational modelling: a clinical consensus statement of the European Heart Rhythm Association and the European Association of Cardiovascular Imaging of the ESC. Europace. 2025 Jul 1;27(7):euaf134.

2)Morphology of right atrial appendage for permanent atrial pacing and risk of iatrogenic perforation of the aorta by active fixation lead. Heart Rhythm. 2015 Apr;12(4):744-50.

3)Anatomical Variations in the Sinoatrial Nodal Artery: A Meta-Analysis and Clinical Considerations. PLoS One. 2016 Feb 5;11(2):e0148331.

タイトルとURLをコピーしました