Katz-Wachtel現象(Katz-Wachtel phenomenon)

Katz-Wachtel現象はKatz-Wachtel兆候(Katz-Wachtel sign)とも呼ばれ、両室肥大を示唆する心電図所見です。この心電図の徴候は1937年にKatzとWachtelによって両室肥大を伴う大きな心室中隔欠損の小児で初めて記述されました1)。Katz-Wachtel現象は先天性心疾患の小児に最も多く見られ、成人で見られることは稀です2)。

両室肥大で必ずしもKatz-Wachtel現象が見られるわけではなく、心室肥大のバランスによっては右室肥大と左室肥大の個々の徴候が顕著に現れない場合があります。
心電図所見
Katz-Wachtel現象は胸部誘導(V2、V3、V4誘導)に振幅の大きい2相性QRS波が存在し、QRS波の振幅が50mmを超えると定義されています3)。

KatzとWachtelの報告ではQRS波の振幅の大きさ自体は定義されておらず、2相性QRS波は振幅の小さい波が振幅の大きい波の1/4以上のQRS波と定義しており、特に2相の振幅が等しい場合に特異度が高いとしています1)。
Katz-Wachtel現象に見られる2相性QRS波では、前半成分は右室肥大によるものであり、後半成分は左室肥大によるものとされています4)。
参考文献
1)The diphasic QRS type of electrocardiogram in congenital heart disease. Am Heart J. 1937;13:202–6.