不適切洞頻脈(inappropriate sinus tachycardia)
不適切洞頻脈は「不適切洞頻拍症候群」とも呼ばれており、心臓の洞結節が生理的な範囲を超えて不適切に興奮することで頻脈になっている状態です。若年の女性に多くみられ、極端に少ない刺激でも頻脈になる場合や明らかなきっかけが無くても頻脈になる場合があります。不適切洞頻脈は除外診断であり、他の明らかな原因がないことを確認する必要があります。生活習慣の改善や薬物治療が行われますが、時にはアブレーションが行われることもあります。
心電図所見

不適切洞頻脈の診断基準として「安静時心拍数>100bpm、24時間平均心拍数>90bpm」がよく利用されています2)。安静時・睡眠時でも心拍数が異常に高いのでホルター心電図での平均心拍数が90bpmを超えます。

洞性頻脈なのでP波の形態は洞調律時と同じになりますが、P波の振幅が頻脈時にやや高くなる傾向があり、これは頻脈時に洞結節の上方に興奮の起源が変位しているためと考えられます3)。

不適切洞頻脈の心拍数の推移はリエントリーを機序とする一部の発作性上室性頻拍で見られるような突然の頻拍開始・終了ではなく、徐々に心拍数が上昇(warm up)・下降(cool down)します1)。

参考文献
3)P-Wave Amplitude and PR Changes in Patients With Inappropriate Sinus Tachycardia: Findings Supportive of a Central Mechanism. J Am Heart Assoc. 2018 Apr 19;7(9):e008528.←不適切洞頻脈ではPRの短縮も見られる

