spiked-helmet sign
spiked-helmet signは2011年にLittmannらによって初めて報告され、重症患者における高い死亡率のマーカーとなる可能性が報告されています1)。
この心電図所見は、ドーム状のST上昇と、QRS波の開始前のベースラインの上方シフトを伴うことが特徴です。
メカニズム
Spiked-Helmet signの正確なメカニズムは不明ですが、横隔膜が関与している可能性が指摘されています1,2)。
心周期に同期した横隔膜の拍動性収縮3)や、原因不明の呼吸アーチファクトを伴う異常呼吸パターン4)、腹腔内または胸腔内圧の急性上昇による反復性表皮伸展5)など、横隔膜に関連するメカニズムがいくつか提唱されています。
鑑別疾患
Spiked-Helmet signは、脳、心臓、肺、腹部の疾患、敗血症や大きな外傷のある患者において報告されています。
一般的に下壁誘導で発生することが知られており、その場合、急性腹症、腹腔内圧上昇を示唆します。
これらの心電図所見が前胸部誘導にある場合は、大動脈解離、気胸、気腹、急性呼吸窮迫症候群などが原因で生じる急性胸腔内圧上昇を示唆します6)。
・下壁誘導:腹腔内圧上昇→急性腹症
・前胸部誘導:胸腔内圧上昇→大動脈解離、気胸、気腹、急性呼吸窮迫症候群など
参考文献
1)The “spiked helmet” sign: a new electrocardiographic marker of critical illness and high risk of death. Mayo Clin Proc. 2011 Dec;86(12):1245-6.
2)The ‘spiked-helmet’ sign in patients with myocardial injury. J Electrocardiol. 2020 Aug 6:S0022-0736(20)30525-2.
3)Bilateral diaphragmatic contraction synchronous with cardiac systole. N Engl J Med. 1960 Oct 20;263:775-8.
4)Significance of respiratory artifact in the electrocardiogram. Am J Cardiol. 2008 Oct 15;102(8):1090-6.
5)Spiked helmet sign: An under-recognized electrocardiogram finding in critically ill patients. Indian J Crit Care Med. 2014 Apr;18(4):238-40.
6)Helmet Sign on EKG: A Rare Indicator of Poor Prognosis in Critically Ill Patients. Am J Med Case Rep. 2019;7(10):260-263.