QTc (corrected QT)
QT間隔は、QRSの始まりからT波の終わりまで測定され、心室電気収縮期に相当します。
T波の終わりの決め方は以下を参考ください。
QT間隔は心拍数に反比例します。
・徐脈→QT間隔の絶対値は大きくなる
よって、QT間隔を絶対値で考えると、徐脈の場合はほとんどの人がQT間隔延長になってしまいます。
心拍数によるQT間隔のばらつきを調整するためには補正QT(QTc:corrected QT)間隔の計算が必要となります。
正常値
QTcの正常値は0.36〜0.44秒です。女性の方が延長傾向であるため、女性では0.46秒までが正常範囲となります。
スクリーニング
QTcを評価する初期スクリーニング方法として「Half of RR」ルールがあります1)。
しかし、他のQT補正方法と比較して性能が低いことが示されています2)。
補正式
QTc間隔の計算式は、いくつか提案されています。
QTcB=QT(秒)/√RーR(秒)
・Fridericia補正式:
QTcF = QT/3 √ RR
・Hodges補正式:
QTcH = QT + 105(1/RR-1)
・Framingham補正式:
QTcFr = QT + 0.154(1000−RR)
QTの補正式として、どの式が最適かはまだ不明です3)。
心拍数が補正値にほとんど影響を与えないものが理想的なQT補正法と言えます。
しかし、BazettはQT補正のために最も使用される式であるにもかかわらず、心拍数への依存性が最も大きく、高心拍数ではQT間隔の過剰補正、低心拍数では過少補正につながることが示されています4)。
これらの懸念から、2009年のAHA/ACCF/HRS Scientific Statement では、QT間隔補正にBazettの式ではなく、Framingham補正式、Hodges補正式などを使用することが推奨されました5)。
参考文献
1)Mathematic validation of a shorthand rule for calculating QTc. Am J Cardiol. 1998 Aug 1;82(3):400-2.
3)A Practical Method for QTc Interval Measurement. Cureus. 2020 Dec 17;12(12):e12122.
6)QTc: how long is too long? Br J Sports Med. 2009 Sep;43(9):657-62.