心ベクトルとは?

心ベクトル(cardiac vector)

心ベクトルとは、心筋の興奮によって生じる起電力を「大きさ」と「方向」を持ったベクトル(矢印)として表現したものです。心ベクトルは「心臓の電気的活動を1本の矢印で表現する概念」であり、心電図波形の成り立ちや電気軸、軸偏位などを理解する上での基本的な考え方です。

心ベクトル(cardiac vector)

心ベクトルとは、心筋の興奮によって生じる起電力を「大きさ」と「方向」を持ったベクトル(矢印)として表現したものです。心ベクトルは「心臓の電気的活動を1本の矢印で表現する概念」であり、心電図波形の成り立ちや電気軸、軸偏位などを理解する上での基本的な考え方です。

心筋細胞が脱分極すると局所的に小さな電気的な力(双極子)が発生します。心臓全体では無数の心筋細胞が時間差を持って興奮するため、ある瞬間のすべての電気的な力を合成した1本のベクトルとして捉えることができます。

心ベクトル(cardiac vector)
心筋細胞が脱分極すると局所的に小さな電気的な力(双極子)が発生します。心臓全体では無数の心筋細胞が時間差を持って興奮するため、ある瞬間のすべての電気的な力を合成した1本のベクトルとして捉えることができます。
  • 大きさ(長さ):電位の強さを表す
  • 方向(向き):マイナス極からプラス極(矢印の先端がプラス側)
心ベクトル(cardiac vector)
大きさ(長さ):電位の強さを表す

方向(向き):マイナス極からプラス極(矢印の先端がプラス側)

この合成されたベクトルを心ベクトルと呼びます。心ベクトルの向きは興奮が向かっている方向に一致しており、局所電流の向き(プラスからマイナス)とは逆になっています。

心ベクトル(cardiac vector)
この合成されたベクトルを心ベクトルと呼びます。心ベクトルの向きは興奮が向かっている方向に一致しており、局所電流の向き(プラスからマイナス)とは逆になっています。

種類

瞬間ベクトル(instantaneous vector)

ある特定の瞬間における心臓全体の合成ベクトル。時間とともに大きさも方向も刻々と変化します。

心ベクトル(cardiac vector)
瞬間ベクトル(instantaneous vector)

ある特定の瞬間における心臓全体の合成ベクトル。時間とともに大きさも方向も刻々と変化します。

平均ベクトル(mean vector)

特に心室脱分極全体を平均したものが平均QRSベクトル、いわゆる電気軸です。

心ベクトル(cardiac vector)
平均ベクトル(mean vector)

特に心室脱分極全体を平均したものが平均QRSベクトル、いわゆる電気軸です。

心電図

標準12誘導心電図は、この心ベクトルをさまざまな方向(誘導軸)から「投影」したものです。

  • ベクトルが誘導の陽性電極側に向かう → 上向きの波(陽性波)
  • ベクトルが陰性電極側に向かう → 下向きの波(陰性波)
  • ベクトルが誘導軸に垂直 → ほぼ等電位または二相性

このため、誘導によって波形が大きく異なるのは同じ心ベクトルを違う角度から見ているためです。

心ベクトル(cardiac vector)

理論的には胸部誘導も心ベクトルの投影ですが、近接効果が強いため心臓全体を1つの双極子とみなす近似が前胸部では成り立たなくなります。そのため肢誘導の電気軸のように水平面では厳密に軸を求めることはできません。

ベクトル心電図

心ベクトルの先端の軌跡を、正面・水平・側面の3平面に投影してループ状に記録したものがベクトル心電図です。QRS環・T環などの形状や回転方向からより立体的な情報が得られます。

参考文献

書籍

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