時計方向回転(clockwise rotation)

移行帯がV6側に偏位している状態を時計方向回転(右回転)と呼びます。また、「移行帯が遅い」と表現されることもあります。時計方向回転のみであれば病的意義はほとんどありません。

横断面で足側から心臓を見あげた際に、心室中隔を時計の針に見立てた時に針が進む方向(時計方向)に心臓が回転(rotation)している状態です。実際には心室中隔と移行帯は一致しないと言われていますが、回転を考える上では理解しやすいと思います。時計方向回転は電気活動の変化による偏位なので、物理的に心臓が回転していなくても発生します。

時計方向回転ではV1〜3のR波が減高していることが多く、R波増高不良と間違えないよう注意が必要です。
参考文献
1)Electrocardiographic changes in Emphysema. World J Cardiol. 2021 Oct 26;13(10):533-545.
書籍
今さら聞けない心電図 P98-99
心電図のみかた、考え方 基礎編 P258-262
心電図マイスターによる3→1級を目指す鑑別力grade up演習 P19-20

