冠静脈洞筋束(coronary sinus musculature)
冠静脈洞筋束とは、冠静脈洞壁の外側を覆う心筋組織のことです1)。冠静脈をスリーブ状に覆っているため心筋袖(myocardial sleeve)とも呼ばれています。

静脈壁の外側に心房由来の心筋線維が走行しているという構造ですが、均一に筒状に心筋が包んでいるのではなく厚さや分布には偏りがあります。冠静脈洞筋束を構成する筋線維は、長軸方向と短軸(円周)方向の両方があります。 ヒトの組織学的研究では、冠静脈洞入口部の心筋は典型的に2層で内層は血管の長軸方向、外層は血管を取り巻く円周方向でした2)。冠静脈洞入口部からは平均40±8mm伸びていると報告されています。

右房心筋は冠静脈洞筋束を介して左房心筋へと興奮を伝導することができます。これは右房と左房を電気的につなぐ心房間伝導路の一つです(inferior interatrial connection)。右房心筋→冠静脈洞入口部→冠静脈洞筋束が連続しており、さらに途中で冠静脈洞筋束→CS-LA myocardial connections→左房心筋という連続性があることが報告されています3)。

心房間ブロックではバッハマン束がブロックされるので冠静脈洞筋束を介した伝導経路が主な興奮伝導部位になります。
参考文献
2)Anatomy of the inferior interatrial route in humans. Europace. 2005 Sep;7 Suppl 2:49-55.

