クーメル現象(coumel phenomenon)

クーメル現象はCoumel’s signやCoumel’s lawとも呼ばれ、副伝道路を介した房室回帰性頻拍に機能的脚ブロックが伴った場合に頻拍周期が延長する現象です。1974年にPhilippe Coumelによって初めて報告されました2)。

副伝道路が左室に存在する場合の順方向性房室回帰性頻拍では、リエントリー回路は心房→房室結節→左室→副伝導路となっています。この時、機能的左脚ブロックが発生するとリエントリー回路は心房→房室結節→右室→左室→副伝導路となり、右室を経由する分だけ回路が長くなります。それに伴って頻拍周期(RR間隔)も延長することになり、クーメル現象が発生します。

narrow QRS頻拍とwide QRS頻拍が同時に見られ、wide QRS頻拍時の頻拍周期が延長していた場合はクーメル現象を考えます。クーメル現象は脚ブロックと同側(右脚ブロックであれば右室、左脚ブロックであれば左室)の副伝導路を逆行性伝導する房室回帰性頻拍(AVRT)を示唆する所見です。

心電図所見

房室回帰性頻拍(AVRT)におけるクーメル現象では、機能的脚ブロックにより副伝導路が存在しない方の心室に伝導してから副伝導路が存在する方の心室に興奮が伝わるので迂回する分だけリエントリー回路の長さが長くなり、回路を1周するのにかかる時間が延長するので頻拍周期が延長します。両脚への伝導が回復しQRS間隔が狭くなる瞬間には、回路長と周期長が短縮します。

機能的脚ブロックが心室期外収縮によって解除される現象をpeeling back現象と呼び、これによりwide QRS波がnarrow QRS波に移行する場合があります。

鑑別
クーメル現象は房室回帰性頻拍(AVRT)を他の原因による上室性頻拍(房室結節回帰性頻拍や心房頻拍など)と鑑別するのに有用です。これらの原因による頻拍では、心室がリエントリー回路に含まれていないため、頻拍中の脚ブロックは周期長に影響を与えません4)。

参考文献
3)Wide Complex Tachycardia: The Answer Is in Front of You. JACC Case Rep. 2023 Feb 17;11:101766.←peel backとlinking phenomenonで説明されている。

