Electrical alternans(電気的交互脈)
Electrical alternansとは、QRS振幅または軸が交互に変化する心電図現象です1)。
原因
心タンポナーデ
電気的交互脈は、しばしば心囊液貯留や心タンポナーデの存在を示唆します2)。これは、液体で満たされた心嚢内での周期的な心臓の円運動および回転運動によるものです。心電図は、心臓の解剖学的位置の周期的変化を検出し、電気的交互脈として表れます。
上室性頻拍
電気的交互脈は上室性頻拍の患者の22%に認められ、その90%以上が副経路と関連していたとの報告があります3)。
Pulignanoらは、電気的交互脈は、主に頻拍の程度によって決まり、メカニズム(リエントリーの経路)とは無関係であることを示しました4)。
彼らは、心拍数が上昇することによって活動電位の持続時間の振動が生じ、それに伴ってHis-Purkinjeまたは心室心筋の不応期が変化することで電気的交互脈が生じると提唱しています。
WPW症候群
WPW症候群に伴う電気的交互脈では、デルタ波を示すQRS波が正常なQRS波と交互に出現します。1つの副伝導路内で交互に伝導する症例も報告されています。
参考文献
1)Electrical alternans: a sign, not a diagnosis. South Med J. 2013 Aug;106(8):485-9.