giant R wave 巨大R波
giant R waveとは、心筋梗塞の超急性期に一過性の増大するR波のことです。
giant R wave出現時の心電図の特徴は以下の通りです。
・幅広いR波
・S波の消失
・ST上昇
・R波の融合
・S波の消失
・ST上昇
・R波の融合
この様な特徴から房室ブロックや、速い心拍数を伴う場合には心室頻拍に似た波形となります。したがって、このまれにしか遭遇しない心電図パターンが、房室ブロックや心室頻拍と誤診されることも多いです2,3)。
giant R waveは虚血性障害の臨床経過のごく初期に見られ、動物実験では冠動脈結紮直後に出現します4,5)。
動物実験では、以下の関係が報告されています1)。
・「冠動脈結紮に伴う心外膜R波の増大」と「局所冠動脈血流」→ 負の相関
・「R波の増大」と「心筋壊死の程度」→ 正の相関
・「R波の増大」と「心筋壊死の程度」→ 正の相関
メカニズム
giant R waveは虚血心筋領域の脱分極の異常に由来します6)。
拡大したQRS複合体は、重度の虚血または心筋領域の局所的な心室内伝導ブロックによって生じ、このブロックは正常心筋が完全に脱分極した後に活性化されます。
脱分極の変化はQRSの最後の40msに生じ、虚血領域を指すベクトルで表現されます7)。
参考文献
2)Misdiagnosis of new bifascicular block. Circulation (letter to the editor) 100:1250, 1999