先天性QT延長症候群8型(congenital long QT syndrome type 8:LQT8)
先天性QT延長症候群8型は先天性QT延長症候群の1つであり、LQT8の原因遺伝子であるCACNA1CはL型Caチャネルをコードしていますが、これが変異することで遅延性のCa電流が生じてQT間隔が延長するとされています。

以前は全身症状(身体の形成異常、神経学的障害、発達障害など)を伴うTimothy症候群として報告されていましたが、最近では全身症状を伴わないCACNA1C変異が報告されており、LQT8≠Timothy症候群であることに注意が必要です。Timothy症候群の予後は非常に悪く、平均死亡年齢が2.5歳であったとする報告もあります。
心電図所見
QT延長

LQT8ではLQT3のような遅発性T波(Late-appearing T-waves)を認めることが多いです。長い等電位のST部分とT波のピークが後ろにあることが特徴です。Timothy症候群における平均QTc値は640±108msであったという報告があります2)。

L型Caチャネルの変異による過剰なカルシウムおよびその自発的な放出が活動電位持続時間を延長させることでQT延長が発生します。
2:1房室ブロック

QT延長症候群ではQT延長が著明な場合に2:1房室ブロックが合併することがあり、LQT8でも見られます。Timothy症候群では47%に認められたとする報告があります2)。

これは機能的房室ブロックであり、器質的に刺激伝導系が障害されているわけではないため「偽性2:1房室ブロック(Pseudo 2:1AVB)」と呼ばれることもあります4)。QTが延長した結果、QRS波とT波の間にP波が入り込み、心室筋が不応期であるSTセグメントのタイミングで心房からの興奮が心室に伝導してしまうことでブロックとなります。

T波オルタナンス

T波オルタナンスはT波の形態、波高、極性などが1拍ごとに変化する現象です。T波オルタナンスの存在は心イベントのリスク上昇と関連しており、Timothy症候群では47%に認められたとする報告があります2)。

参考文献
書籍
小児心電図テクニカルガイド P96-101

