Sgarbossa’s criteria
Sgarbossa’s criteriaとは左脚ブロックを有する症例で虚血を疑う場合の評価基準です1)。以下の3つの基準でスコアリングを行い、score 3点以上で虚血ありと判定します。
・上向きQRSを示す誘導で1mm以上のST上昇(score 5点)
・V1~V3誘導で1mm以上のST下降(score 3点)
・下向きQRSを示す誘導で5mm以上のST上昇(score 2点)
・V1~V3誘導で1mm以上のST下降(score 3点)
・下向きQRSを示す誘導で5mm以上のST上昇(score 2点)
合計score 3点以上で90%以上の特異度が得られますが、Sgarbossa’s Criteriaは感度が低いので点数が低くても心筋虚血がないと言いきれない点が問題となっています。
そこでSgarbossa’s Criteriaを改訂してより感度を高めた基準であるSmith’s Criteria(Modified Sgarbossa Rule)が存在します。
左脚ブロックとST変化
左脚ブロックの時に心電図から虚血変化を判断するのは難しいです。これは左脚ブロックにより2次性ST変化が生じることで通常のST変化の評価ができないからです。一般的に左脚ブロックの2次性ST変化ではQRSの向き(極性)とST-Tの向きが反対になり、このような極性の不一致をappropriate discordanceと呼びます。
これを踏まえると、Sgarbossa’s criteriaで評価しているのは「QRSが陽性の場合、ST-Tが陰性のはずなのに陽性になっている」、「QRSが陰性の場合、ST-Tが陽性のはずなのに陰性になっている」、「QRSが陰性の場合、ST-Tは陽性だが異常に上昇している」という点になります。