二相性T波(biphasic T wave)

二相性T波とは、陽性と陰性の両成分を含んでいるT波であり、山と谷がつながったような形になります。陽性→陰性と陰性→陽性の2パターンがあり、非特異的な所見の場合もありますが、Wellens症候群と低カリウム血症に注意が必要です。
陽性→陰性
二相性T波のうち、T波の初期成分が上行して陽性となり、後半成分が下降して陰性となるものはWellens症候群で認めることがあります。胸痛の病歴を確認し、V2、V3誘導で二相性T波(陽性→陰性)が見られる場合、左前下行枝近位部の高度狭窄を疑う必要があります。

陰性→陽性
二相性T波のうち、T波の初期成分が下行して陰性となり、後半成分が上行して陽性となるものは重度低カリウム血症で認めることがあります。低カリウム血症ではU波増高も見られるので、後半成分は陽性U波と区別が困難な場合もあります。

参考文献
1)Wellen’s Syndrome: The Life-Threatening Diagnosis. Circulation. 2019 Nov 26;140(22):1851-1852.