複数副伝導路(Multiple accessory pathway)
複数副伝導路はWPW症候群患者の3%〜13%にみられると報告されており、複数副伝導路を有する患者では、逆伝導性頻拍が多く、心室細動や突然死のリスクが高くなるとされています2)。
上記の心電図はPR間隔が短く(100msec)、QRSは幅広く、デルタ波をもっています。しかしながら、2つの異なる波形が存在しており、2種類の副伝導路が想定されます3)。
青枠の波形はV1〜V6、下壁誘導、I誘導で正のデルタ波、aVRとaVL誘導で負のデルタ波であり、左副伝導路を示唆します。
赤枠の波形はV1で平坦なデルタ波、V2からV6、I、II、aVL誘導で正のデルタ波、aVRとIII誘導で負のデルタ波、aVF誘導で正負のデルタ波であり、右副伝導路を示唆します。
参考文献
1)Is it a Twofer? Circulation. 2024 Jan 9;149(2):160-163. ←CirculationのECGチャレンジ
2)Multiple accessory pathways in the Wolff-Parkinson-White syndrome as a risk factor for ventricular fibrillation. Am J Cardiol. 1991 Apr 15;67(9):889-91. ←WPW症候群の突然死のリスク因子として複数副伝導路の関与を報告した論文。複数副伝導路では心房細動の有病率も増加。
3)Electrocardiographic clues for multiple accessory pathways in patients with pre-excitation syndromes. J Am Coll Cardiol. 1990 Oct;16(4):1029-31. ←複数副伝導路を有する患者の心電図上の特徴に関して記述してある論文。6つの特徴的な所見に関して記載。