Aslanger’s pattern
Aslanger’s patternは右冠動脈以外の冠動脈に重大な狭窄を合併した急性下壁心筋梗塞の可能性を示唆する心電図のパターンです。
急性非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)の1000個の心電図を検討し、2020年にAslangerらによって提唱されました2)。連続した誘導のST上昇ではないためNSTEMIに分類されます。
この心電図パターンの特徴は以下の通りです。
(2)V4-V6誘導にST上昇を認めず、T波・T波終末が陽性である。
(3)V1誘導のST上昇がV2誘導よりも大きい。
右冠動脈領域の下壁梗塞ではSTベクトルはⅢ誘導の方向へ向かいます。
心内膜下虚血のSTベクトルは虚血領域に限定されず、どの冠動脈領域が侵されているかにかかわらずaVR誘導を指します。
両方のベクトルが組み合わされて右を向いている場合、IIIとaVR誘導でのみST上昇を起こしますが、IとII誘導ではST低下を起こします。
虚血ベクトルはaVF誘導に垂直なので、aVF誘導のSTセグメントは常に基線上にあります。
虚血ベクトルは側壁と逆方向であるため、V4-V6誘導のSTは常に低下しています。
Aslanger’s patternはNSTEMI患者の6.3%に認められ、梗塞サイズが大きく、死亡率が高いとされています2)。
参考文献
1)A patient with acute myocardial infarction with electrocardiogram Aslanger’s pattern. BMC Cardiovasc Disord. 2024 Jan 2;24(1):3.←Aslanger’s patternを呈し、左主幹動脈から近位左前下行動脈の高度狭窄が確認されたAMIの症例
2)A new electrocardiographic pattern indicating inferior myocardial infarction. J Electrocardiol. 2020 Jul-Aug;61:41-46.←Aslanger’s patternの元論文