リエントリー(reentry)
興奮伝導は心周期ごとに消失しますが、消失することなく元の部位に戻り再興奮させることがあり、これをリエントリーと呼びます。
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リエントリーには解剖学的リエントリーと機能的リエントリーがあります。
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解剖学的リエントリー
解剖学的リエントリーは解剖学的構造・障壁によって興奮旋回路が決まっています。リエントリーの成立には一方向からの伝導のみブロックされる一方向性ブロックが必要であり、緩徐伝導部位が存在するとよりリエントリーが成立しやすくなります。
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一方向性ブロックがない場合、興奮旋回路内部で興奮が衝突してしまい消失します。一方向性ブロック存在する場合、興奮が一方向へ伝導することになりリエントリーが成立することができます。
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また、伝導速度が遅い緩徐伝導部位がなければ不応期で興奮が伝導されない可能性がありますが、緩徐伝導部位が存在すれば、伝導に時間がかかるので不応期を脱したタイミングで興奮が伝導することになり、リエントリーが成立する可能性が高まります。
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解剖学的リエントリーが原因となる不整脈には房室回帰性頻拍、心房粗動、陳急性心筋梗塞における単形性心室頻拍などがあります。
機能的リエントリー
機能的リエントリーの機序としてleading circle説とspiral wave reentry説が提唱されています。
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leading circle説は不応期領域で一方向性ブロックが生じることでそれを迂回するように興奮波の旋回が生じます。
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spiral wave reentry 説は興奮波の前面が渦巻き型の形状であり、興奮波の前面がそれ自身の終末と接する点が生じ、この点を中心として興奮波が旋回します。