AV valve offset
AV valve offsetとは、三尖弁と僧帽弁の心室中隔側における付着位置の違いを指す解剖学的特徴のことです。Aは心房(Atrium)、Vは心室(Ventricle)のことであり、AV valveは心房と心室の間に存在する弁である三尖弁と僧帽弁、offsetはその房室弁付着部のずれを意味しています。正常心では、三尖弁の中隔尖は僧帽弁の中隔側付着部よりも心尖部側に位置しています。この位置のずれは、心エコーの心尖部四腔像でもはっきりと確認することができ、正常な心臓の形態を示す重要な所見の一つです1)。

ただし、三尖弁全体が僧帽弁より心尖部側に付着しているわけではなく、あくまで中隔側付着部のずれです。

この弁のずれにより、心室中隔の基部には、右心房と左心室が直接隣接する領域が形成されます。この領域には線維性組織である膜性中隔の房室部が存在し、右心房と左心室を隔てています。一方、膜性中隔のうち三尖弁中隔尖の付着部より心尖部側に位置する部分は、左右の心室を隔てる心室間部となります。

AV valve offsetは正常な解剖学的特徴ですが、エプスタイン奇形では三尖弁中隔尖などの付着部が異常に心尖部方向へ偏位するためその程度が増大します2)。

参考文献
1)Anatomy of the human atrioventricular junctions revisited. Anat Rec. 2000 Sep 1;260(1):81-91.
