基線(baseline)
基線は心臓の膜電位の安静状態を表しており、心筋に電気活動がない状態です。等電位線(isoelectric line)とも呼ばれ、心電図上では平坦で真っ直ぐな線として見られます。
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基線の同定には様々な方法が提唱されています。P波の開始点は心房筋が興奮する前であり、心房筋も心室筋も静止電位であるから、P波の始まりから次のP波の始まりの点を結んだ線を基線とする方法、T波の終点は心室筋が興奮した後であり、心房筋も心室筋も静止電位であるから、T波の終わりとP波の始まりの点を結んだ線を基線とする方法があります。他にもQRS波の始まりを基準点とする方法、PQセグメントやSTセグメントが基線と一致すると考える方法もあります。

心筋細胞の間に電位差がある場合に体表心電図に波形が形成されます。つまり、脱分極している細胞と脱分極していない細胞が存在する場合や再分極している細胞と再分極していない細胞が存在している場合です。そのため、全ての心筋細胞が静止電位であれば基線を示しますが、全ての心筋細胞が脱分極電位であっても基線を示します。
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参考文献
レジデントのためのこれだけ心電図 P104
心電図のみかた、考えかた 基礎編 P68-70