hyper acute T wave
hyper acute T waveは急性虚血の最も早い心電図変化であり、ST上昇より先に見られます。hyper acute T waveは左右非対称であり振幅が増大します1)。
hyper acute T waveの機序はいまだに不明ですが、梗塞部位に一致した誘導に出現し、前胸部誘導で最も顕著2)で、急性心筋梗塞の発症後30分以内に認められます。
冠動脈の結紮を行った研究では、hyper acute T waveは冠動脈の血流を遮断してから2分後には発生する可能性があることが示されています3)。
上の心電図は全て急性心筋梗塞の心電図です。
・D → 非典型的:T波は狭く、尖った形態をしています
時間による変化
前壁急性心筋梗塞のhyper acute T waveが一過性であるのに対し、後壁急性心筋梗塞のhyper acute T waveは何日も持続する傾向があり、永久に残ることもあります5)
hyper acute T waveの鑑別
hyper acute T waveの鑑別としては次の様な疾患があります6)。
・早期再分極
・高カリウム血症
参考文献
1)Hyperacute T waves revisited. Am Heart J. 1982 Oct;104(4 Pt 1):888-90.
3)Acute coronary syndromes: acute myocardial infarction and ischemia. In: Chan TC, Brady WJ, Harrigan RA, et al, editors. ECG in emergency medicine and acute care. 1st ed. Philadelphia: Mosby; 2005. p. 151-63.
5)Tall T waves: Electrocardiographic differential diagnosis.Heart Lung 1984;13:168-172