低カリウム血症(Hypokalaemia)
低カリウム血症とは、体内の総カリウム貯蔵量の不足またはカリウムの細胞内への異常な移動によって血清カリウム濃度が3.5mEq/L未満となった状態です。
最も頻度の高い原因は腎臓または消化管からの過剰喪失です。臨床的特徴としては筋力低下や多尿などがあり、重度の低カリウム血症では心臓の興奮性亢進が生じることがあります。

低カリウム血症 - 10. 内分泌疾患と代謝性疾患 - MSDマニュアル プロフェッショナル版
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心電図所見


低カリウム血症の心電図所見として徐脈、ST低下、T波の平坦化と陰転化、QT(QU)間隔の延長、U波などがあります1)。低カリウム血症によって心筋の静止膜電位が深くなり、活動電位第3相のなだらかな低下により活動電位持続時間が延長することで心電図変化が生じます。

平低T波
再分極の遅延を反映してT波が平低化します。場合によっては陰転化して陰性T波となります。

U波増高
U波が増高して時にはT波よりも大きくなる場合があります。U波の増高により、T波とU波がラクダのコブのように見えることからCamel hump signやCamel-hump T-waveと呼ばれることもあります2)。T波とU波が合体しているため区別が難しいこともあり、TU波(TU wave complex)と呼ばれることもあります。

QT延長
低カリウム血症は後天性QT延長症候群の原因の一つです。QT延長からtorsade de pointesを生じることがあります。

参考文献
3)Electrolyte disorders and arrhythmogenesis. Cardiol J. 2011;18(3):233-45.
書籍
心電図の読み方パーフェクトマニュアル P210-211
実力心電図 P138-139
今さら聞けない心電図 P284-285
深読みしないDr.田宮&Dr.村川の心電図ディスカッション P98-101
心電図免許皆伝 P91-93


