心室固有調律(idioventricular rhythm)

心室固有調律は心室筋から生じた補充調律であり、心室補充調律(ventricular escape rhythm)とも呼ばれます。通常は房室ブロックで見られることが多いです。

洞不全では基本的に房室接合部調律になりますが、房室接合部の機能障害がある場合はより下位の心室筋(プルキンエ線維)からの補充調律となりるため、心室固有調律が見られることがあります。

房室接合部より下位の心室筋(プルキンエ線維)は20〜40/分程度の自動能を有しています。ベースとなる心拍がこの自動能より遅くなると補充調律として心室固有調律が生じます。

心室から興奮が開始するため、QRS波はwideとなります。調律の発生部位が房室接合部に近いほどQRS幅は狭く、心拍数は30〜40/分程度となります。逆に、房室接合部から遠ざかるほどQRS幅は広く、心拍数は20〜30/分程度と少なくなります。

基本的には徐脈ですが、何らかの理由で洞調律と同程度に心拍数が上昇すると促進性心室固有調律と呼ばれます。

参考文献
書籍
実力心電図 P266-267
心電図の読み方パーフェクトマニュアル P54-55
心電図マイスターによる3→1級を目指す鑑別力grade up演習 P39