接合部異所性頻拍(junctional ectopic tachycardia : JET)
接合部異所性頻拍は先天性心疾患周術期に出現することの多い頻拍性不整脈であり、房室結節およびHis束領域における異常自動能亢進が原因と考えられています1)。
接合部異所性頻拍では、房室結節(接合部)で自然脱分極が起こり、心室へ伝導します。心房への逆行性伝導はあってもなくてもよいとされています2)。
QRSは通常、正常な洞調律と同じであるためnarrow QRSとなります。心房への逆行性伝導がある場合はQRS波の終末部に逆行性P波がみられることがあります2)。
そのため房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)との鑑別が困難であることがあります。
接合部異所性頻拍では多くの場合、房室解離がみられます。心房の興奮頻度を接合部頻拍が上回ることで、解離したP波が遅れていく所見が見られることもあります。
参考文献
1)Junctional ectopic tachycardia (JET). J Arrhythm. 2020 Jul 27;36(5):837-844.←JETのreview。JETの平均心室拍数が200~250拍/分
2)Junctional ectopic tachycardia in infants and children. J Arrhythm. 2019 Dec 3;36(1):59-66.←JETの治療に関してのreview。逆行性伝導によって診断が不明瞭な場合は、アデノシンを投与すると、接合部の興奮頻度を変えることなく、房室解離が起こる。
3)Permanent junctional reciprocating tachycardia in infants and Children. J Arrhythm. 2019 May 15;35(3):494-498.←乳幼児のPJRTのレビュー。PSVTの図解あり。
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