房室接合部調律(Junctional rhythm)
房室接合部調律とは、心房と心室の接合部の組織内にある房室結節またはヒス束から興奮が発生することで生じる調律です。
QRS波は、形態的には洞調律の場合と同じですが、先行する洞性P波がありません2)。房室接合部から生じた刺激は心室だけでなく、逆行して心房に伝わることがあります。ゆえに、QRS波は洞調律と同様の形ですが、P波は逆行性P波(Ⅱ、Ⅲ、aVF誘導で陰性)となります。
房室接合部のどこから興奮し、どのように伝導するかによってP波の出現部位が異なります。心房に早く興奮が伝わればQRS波の前に逆行性P波を認め、心房に遅く興奮が伝わればQRS波の後に逆行性P波を認めます。QRS波と同時であれば、P波はQRS波に埋もれて見えなくなります。
心拍数
房室接合部調律は通常40~60拍/分であり、洞調律より遅いです。房室接合部調律の種類を識別するための用語は、その心拍数によって異なり以下の通りです。
・房室接合部徐脈:40拍/分以下
・房室接合部調律:40~60拍/分
・促進性房室接合部調律:60~100拍/分
・房室接合部頻拍:100拍/分以上
・房室接合部調律:40~60拍/分
・促進性房室接合部調律:60~100拍/分
・房室接合部頻拍:100拍/分以上
原因
ジゴキシン中毒、開心術、急性心筋梗塞、イソプロテレノール注入などの様々な条件によって生じることがあります3)。
参考文献
3)Accelerated junctional rhythms during oral verapamil therapy. Am Heart J. 1984 Mar;107(3):440-3.
書籍
心電図の読み方パーフェクトマニュアル P52-53
心電図マイスターによる3→1級を目指す鑑別力grade up演習 P39
心電図免許皆伝 P127-128
続・あなたが心電図を読めない本当の理由 P12-13