LGL症候群(Lown-Ganong-Levine syndrome)
LGL症候群はPQ間隔の短縮c(0.12秒未満)を認め、QRS波は正常である心電図波形を示します。報告者であるLown、Ganong、Levineの3人の頭文字から命名されました2)。
PQ短縮とデルタ波を特徴とするWPW症候群とは異なり、LGL症候群ではPQ短縮だけがみられます。
PQ短縮の原因として1961年にJamesによって報告された3)、心房と房室結節をつなぐ副伝導路(James束)、または1975年にBrechenmacherによって報告された4)、心房とHis束をつなぐ副伝導路(Brechenmacher束)や房室結節伝導亢進が提唱されています。
房室結節伝導亢進(enhanced atrioventricular nodal conduction : EAVNC)とは、房室結節の伝導が亢進しており、通常の房室結節の生理学的伝導遅延の能力が低下していると状態と報告されています5)。
房室結節を通ると伝導に時間がかかりますが、副伝導路を通ると興奮がより早く伝導するのでPQ短縮につながります。
しばしば発作性上室性頻拍を合併し、心房細動・粗動を合併した場合には心拍数に著しい増加を伴います。頻脈発作を伴わない場合は予後は良いとされています。
参考文献
1)A Case of Lown-Ganong-Levine Syndrome: Due to an Accessory Pathway of James Fibers or Enhanced Atrioventricular Nodal Conduction (EAVNC)? Am J Case Rep. 2018 Mar 18;19:309-313.←房室結節伝導亢進(EAVNC)ではなく、副伝導路(James束)によるLGL症候群であることを示した症例
2)The syndrome of short P-R interval, normal QRS complex and paroxysmal rapid heart action. Circulation. 1952 May;5(5):693-706.←LGL症候群の命名の元になった報告
4)Atrio-His bundle tracts. Br Heart J. 1975 Aug;37(8):853-5.←Brechenmacher束の元論文
5)pharmacologic autonomic blockade. Circulation. 1984 Jun;69(6):1088-95.←EAVNC患者の房室結節への自律神経の影響を検証。
書籍
今さら聞けない心電図 P204-205
心電図のみかた、考え方 基礎編 P330-332
心電図マイスターによる3→1級を目指す鑑別力grade up演習 P132-133