偽性心室頻拍(pseudo ventricular tachycardia)
WPW症候群で心房細動を合併すると、副伝導路を介して多数の興奮が心室へ伝導し、刺激伝導系を介していないためQRS幅が広くなるので、一見すると心室頻拍に見えることから偽性心室頻拍(pseudo VT)と呼ばれます。
偽性心室頻拍(pseudo VT)という言葉は日本でよく使われますが、海外ではpre-exited AFと呼ばれることが多いです。
副伝導路が存在しなければ、心房細動の興奮は房室結節により伝導しすぎないように調整されます。しかしながら、副伝導路は容易に興奮が伝導されるため著明な頻脈となります。
心房細動の不規則な興奮が伝導するため、心室の興奮も不規則になりRR間隔は不規則になります。R波の立ち上がりにデルタ波のような所見が見られる場合もあります。洞調律時の心電図でデルタ波を確認する必要があります。
参考文献
書籍
ほぼ初めての心電図 P226-227