QT短縮症候群(short QT syndrome)
QT短縮症候群は、QT時間の短縮に心房細動や心室細動などの頻脈性不整脈を合併する遺伝性の症候群です。2000年に初めて報告され2)、10〜20歳台の突然死が多く報告されています。
診断基準
QT短縮症候群はQTc≦330〜340msec、またはQTc<360msecで一定の条件を満たす場合に診断されます3,4)。
QT短縮症候群では現在までにいくつかの原因遺伝子(遺伝子型)が報告されていますが、有症候性のQT短縮症候群であっても遺伝子診断率は低いです5)。
外向きKチャネル電流の増加や内向きCaチャネル電流の減弱によって、結果的にQT間隔は短縮するとされています。
心電図所見
QT短縮症候群の心電図所見として、QT時間の短縮とT波形態の特徴も報告されています。胸部誘導のT波は振幅が大きくて対称性であり、平坦なST部分を認めない症例が多いとされています6,7)。しかし、上行脚がなだらかで下降脚が急峻な非対称性のT波形態を特徴とするQT短縮症候群も報告されており8)、T波の形は遺伝子型で異なることが知られています。
参考文献
2)Idiopathic short QT interval: a new clinical syndrome? Cardiology. 2000;94(2):99-102.
5)遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン (2017 年改訂版)
書籍
不整脈診療ロジック×プラクティス P354-357
心電図マイスターを目指す基礎力grade up講座 P57
今さら聞けない心電図 P210-211