洞停止とは?

洞停止(sinus arrest)

洞停止(sinus arrest)
文献1より 洞停止

洞停止は洞結節の自動能が低下し、一時的に洞結節の興奮が停止している状態です。洞結節が興奮しないため、心房も興奮せずP波が消失します。P波が消失することで、P波に続くQRS波も同時に消失します。

洞停止(sinus arrest)

洞結節が回復するまでの時間は一定していないため次にいつP波が出現するかは分かりません。よってPP間隔は基本調律のPP間隔の整数倍にはなりません。日本のガイドラインでは洞停止はPP間隔が基本調律のPP間隔の150%以上に突然延長した場合と定義されています2)

洞停止(sinus arrest)

副交感神経が亢進した場合に生じやすく、完全に心停止することはほとんどなく、自然に自己心拍が再開します。洞停止による失神やめまい等の症状を認め、かつ洞結節自体の機能低下をともなう場合(一次性洞結節機能低下)はペースメーカ植え込みの適応となります。

洞停止(sinus arrest)

Rubenstein分類

洞不全症候群の分類であるRubenstein分類ではⅡ群に分類されます。

洞停止(sinus arrest)

同じⅡ群に分類される洞房ブロックとの違いは、洞停止は洞結節自体の興奮が停止しているのに対して、洞房ブロックは洞結節の興奮は正常ですが洞結節から心房への伝導が障害されている点です。

洞停止(sinus arrest)

また、心電図所見でも違いがあります。洞停止のPP間隔は基本調律のPP間隔の整数倍にならないのに対して、洞房ブロックのPP間隔は基本調律のPP間隔の整数倍になります。

洞停止(sinus arrest)

参考文献

1)A pause for thought: exercise-induced sinus arrest causing syncope in a young male. BMJ Case Rep. 2011 Apr 13;2011:bcr1120103519.

2)2022年改訂版 不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン

書籍

今さら聞けない心電図 P134-135

心電図マイスターによる3→1級を目指す鑑別力grade up演習 P37-38

タイトルとURLをコピーしました