upper common pathwayは上部共通伝導路や上位共通路と呼ばれる伝導路であり、房室結節組織と心房を結ぶ伝導路を指します。この概念は、AVNRTで観察される様々な電気生理学的現象を説明するために導入されましたが、本当に実在するかは議論が分かれています1)。
upper common pathwayの存在を示唆する特に代表的な現象は、AVNRT中の室房ブロックです。このような現象は、AVNRTの回路が心房から電気的に分離されていなければ説明できません。そのため、AVNRTは一般的に結節内リエントリーとして理解されており、upper common pathwayを介して心房に接続されているように模式的に表現されています2)。
upper common pathwayがブロックされる室房ブロックはWenckebach型をとることがあります。つまり、upper common pathwayの伝導時間が徐々に延長していき最終的に逆行性P波が脱落します。房室解離に見えることがあり、特にAVNRTがwide QRSの場合には心室頻拍との鑑別に注意が必要です。