心室相性洞不整脈(ventriculophasic sinus arrhythmia)
2度房室ブロック、3度房室ブロックにおいて、QRS波を挟むPP間隔がQRS波が脱落した部分のPP間隔より短縮する現象を心室相性洞不整脈と呼びます1)。この現象は、1910年にErlangerとBlackmanが犬の房室ブロックの実験研究で初めて報告しました2)。
心室相性洞不整脈は、完全房室ブロックの症例の40%以上に見られるとする報告がありますが、2度房室ブロックではそれほど一般的ではありません3)。
この現象の正確なメカニズムは不明ですが4,5)、QRS波出現時の心室収縮による血行動態の変化、洞結節への圧受容器を介した迷走神経の刺激やカテコラミンの放出が関与していると考えられています5)。
参考文献
2) Further studies in the physiology of heart block in mammals. Chronic auriculo‐ventricular block in the dog. Heart 1910;1:177–230.