心房細動(Atrial fibrillation)
心房細動では心周期とは全く関係なく、心房内のいたるところが興奮しているため、P波は存在せず、間隔が不規則な基線の揺れが見られます。これは細動波やf波と呼ばれます。f波の「f」は「fibrillation(細動)」に由来しています。細動波の振幅が小さい時はfine AFと呼ばれます。
心房は細かく震えているだけなので、しっかりした心房の収縮は行われていません。房室結節を通過する興奮も不規則となるため、RR間隔も不規則となります。心房の興奮が房室結節から心室へ伝導しているので、QRS波の幅は狭く(narrow)なります。
心電図所見
心房細動における心電図の特徴としては、(1)不規則なRR間隔、(2)明瞭なP波の欠如、(3)細動波としても知られる不規則な基線の揺れが見られます2)。
しかしながら上記の特徴を満たさない心房細動も存在します。そのため心房細動と判断することが難しい場合があります。
分類
持続期間
心房細動は持続期間による分類があり、7日以内に洞調律に復する心房細動を発作性心房細動、持続が 7日を超えるものを持続性心房細動、1年以上継続しているものを長期持続性心房細動と呼びます。
細動波
細動波(f波)の振幅の大きさによる分類も存在します。振幅の大きさによりstraight-line type、fine type、coarse type、very coarse typeの4つに分類されます。
絶対的不整(irregularly irregular)
心電図における不整は大きく2つに分けられます。
・絶対的不整(irregularly irregular)(規則性が全くないもの)
規則的な不整は、それ以外は正常な調律での間欠的な不整(例:期外収縮)、もしくは予測可能な不規則パターン(例:一連の心拍間の反復的な関係)です。
絶対的不整は、心拍と心拍の間にいかなる規則性も存在しません。心房細動は絶対的不整に分類されます。
・絶対的不整:心房細動
参考文献
1)Atrial fibrillation induced by gabapentin: a case report. J Med Case Rep. 2023 Jun 9;17(1):236.
書籍
心電図の読み方パーフェクトマニュアル P48-49
ほぼ初めての心電図 P228-237
あなたが心電図を読めない本当の理由 P7-9