先天性QT延長症候群(congenital long QT interval syndrome)
先天性QT延長症候群はQT間隔の延長と torsade de pointes (TdP)とよばれる多形性心室頻拍を認め、失神や突然死を引き起こす症候群です。
先天性QT延長症候群の診断基準は以下の通りです。
先天性QT延長症候群では遺伝子変異が同定される確率が高く、確定診断される患者の約75%に遺伝子変異が同定されます。また、遺伝子変異によって不整脈の誘因が異なります。
心電図所見
T波形態
先天性QT延長症候群では遺伝子型によりT波形態が異なり、T波形態から遺伝子型の推測がある程度可能です。それぞれ以下のような特徴があります。
・LQT1:幅広い(broad-based)T波
・LQT2:平低ノッチ型(low-amplitude、notched)T波
・LQT3:長い等電位のST部分とT波のピークが後ろにある遅発性(late-appearing)T波
・LQT2:平低ノッチ型(low-amplitude、notched)T波
・LQT3:長い等電位のST部分とT波のピークが後ろにある遅発性(late-appearing)T波
torsade de pointes(TdP)
torsade de pointesはQRSの極性と振幅が心拍ごとに変化し、等電位線を軸にしてねじれるような特徴的な波形を呈する多形性心室頻拍です。
T波オルタナンス(T-wave alternans)
T波オルタナンスは、T波の形態、波高、極性などが1拍ごとに変化する現象です。
心電図例
参考文献
1)Congenital Long QT Syndrome. JACC Clin Electrophysiol. 2022 May;8(5):687-706.←JACCのreview
2)遺伝性不整脈の診療に関するガイドライン(2017年改訂版)
3)Palpitations and Recurrent Syncope in a Young Woman. Circulation. 2024 Jan 30;149(5):402-405. ←CirculationのECGチャレンジ