Δ波(delta wave)
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P波の直後から始まる緩徐なQRS波の傾斜のことをΔ波(デルタ波)と呼びます。WPW症候群に特徴的な波形です。
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デルタはギリシャ語で三角形を意味しており、QRS波の最初の部分が三角形に見えることからこのように呼ばれています。
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WPW症候群では心房と心室の間に副伝導路があり、正常の心室興奮よりも早く副伝導路付着部での心室の興奮が生じることでΔ波が形成されます。
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房室結節を通る興奮と副伝導路を通る興奮で時間差が生じるのは、房室結節の興奮伝導速度が非常に遅い為です。副伝道路の伝導速度は心房・心室筋と同程度です。
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副伝導路を通った興奮は刺激伝導系を介さないため心室筋の伝導は緩徐であり、これがQRS波の最初に見られるデルタ波を形成します。
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デルタ波より後のQRS波に関しては房室結節からの興奮と副伝導路からの興奮が合わさった波形(融合収縮)となっています。
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WPW症候群はV1誘導での波形によってA型、B型、C型に分けられます。一番知られているのはA型のデルタ波ですが、B型やC型のようなデルタ波も存在します。
参考文献
書籍
心電図の読み方パーフェクトマニュアル P80-81