ペースメーカ移動(pacemaker shift)

ぺースメーカ移動は調律のベースとなっている興奮部位が心房の別の部位へと移ることです。ぺースメーカ移動は2点間の移動であるため、P波の形が異なるのが特徴です。

2点間の移動といっても興奮部位が少しずつ移動していくわけではなく、2ヶ所の興奮が心房を伝導していく割合が変化します。

基本的にP波は2種類ですが、2点から同時に興奮が出現した場合などは融合した波形となるため2種類以上に見えることがあります。融合した波形は1種類に数えないことに注意が必要です。3種類以上のP波を認めた場合は移動性ペースメーカとなります。

ぺースメーカ移動は洞結節から別の心房内への移動のこともあれば、洞結節内での移動の報告もあります2)。

参考文献
1)A case of paroxysmal atrioventricular block with atrial pacemaker shift during ventricular arrest. J Arrhythm. 2020 Aug 2;36(5):950-951.←房室ブロック中のぺースメーカ移動
書籍
心電図マイスターによる3→1級を目指す鑑別力grade up演習 P16