右室流出路起源心室期外収縮 RVOT PVC
右室流出路起源心室期外収縮とは、右室流出路から発生する心室期外収縮のことです。
特徴
右心室流出路から発生する心室性不整脈は、以下の特徴を呈します。
・胸部誘導:左脚ブロック
起源の分類
発生起源としては、肺動脈含め4つに分類されます
4つの起源を鑑別する方法
高位右室流出路中隔側
・胸部誘導の移行帯はV3~V4以降
・Ⅰ誘導で陽性成分が小さく、時に深いS波を認める
・aVL誘導とaVR誘導のQ波はaVL誘導のほうが深い
下壁誘導
中隔起源の期外収縮では、右室と左室はほぼ同時に興奮します。
そのため下壁誘導でnotchのない高いR波となります
Ⅰ誘導
中隔壁は右室流出路の中で左側に位置しています。そのため、左から右に興奮が伝わります
四肢誘導で考えると、Ⅰ誘導と反対方向に向かいます。
そのため、Ⅰ誘導では陽性成分が小さく、時に深いS波を認めます
aVR・aVL誘導
aVR誘導のQ波の振幅は、右心室流出路の前壁から後壁に向かって徐々に大きくなり、逆にaVL誘導のQ波の振幅は、右心室流出路の前壁より後壁で小さくなります。(図1)
・aVL誘導のQ波の振幅:前壁 大きい → 後壁 小さい
これは、右心室流出路が左心室流出路を包み込むようにして大動脈起始部の前側方に位置しているためです。
前壁からの興奮はaVL誘導と反対方向(Ⅲ誘導)に向かうため、aVL誘導でQ波(陰性成分)が大きくなります。
後壁からの興奮はaVR誘導と反対方向(Ⅱ誘導)に向かうため、aVR誘導でQ波(陰性成分)が大きくなります。
高位右室流出路自由壁側
・中隔起源に比べ幅の広くて低いR波
・Ⅰ誘導で陽性成分が大きい※中隔側起源と対照的
・胸部誘導の移行帯はV3~V4以降(中隔側起源よりも時計回転方向になることが多い)
・aVL誘導とaVR誘導のQ波はaVR誘導のほうが深い※中隔側起源と対照的.
下壁誘導
自由壁起源では右室の興奮が左室の興奮に先行します(phased excitation)4)
そのため、両心室の興奮のずれにより下壁誘導、I誘導に RR’パターン(R-R’間隔≧ 20ms)を認めます(R:右室の興奮、R’:左室の興奮)
また、右室と左室がバラバラに興奮することで起電力が分散されて下壁誘導のR波の波高は中隔起源に比べて小さくなります
Ⅰ誘導
肺動脈
・すべての下壁誘導で著明な高電位(2.5mV以上)を認める場合は,左室流出路心外膜起源の可能性もある
低位右室流出路His束近傍
・下壁誘導は全体的に小さく,特にⅢ誘導が小さい
・V1誘導でQS型
・刺激伝導系に近いためQRS幅は狭くなる
参考文献
1)Idiopathic left ventricular tachycardia. Catheter Ablation of Cardiac Arrhythmia- Basic Concepts and Clinical Applications-, ed by Wilber D, Packer DL, Stevenson WG, Blackwell Publishing, Oxford, p298~313
2)12誘導心電図波形を用いた特発性心室不整脈起源の診断. 心電図 2010; 30: 453-65.
3)循環器ジャーナル.2017 Vol. 65 no. 3
4)Prevalence and electrocardiographic characteristics of idiopathic ventricular arrhythmia originating in the free wall of the right ventricular outflow tract. Circ J 68 : 909-914,2004